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事例に学ぶ!
美容クリニック広報・PRによるブランド戦略と5つの役割

  • 集患
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2025 / 11 / 05

美容クリニックの競争が激化する現代において、「広報(PR)」の重要性はますます高まっています。しかし、「広報とは具体的に何をすれば良いのか?」「SNSの運用だけが広報活動なのだろうか?」といった疑問をお持ちの経営者や医師の方も多いのではないでしょうか。

本記事では、橋本唯様へのインタビューに基づき、美容クリニックにおける広報の真髄に迫ります。多くの有名ドクターをプロデュースしてきた経験から語られる戦略や具体的な手法は、自院の広報活動を見直し、集患力の強化と確固たるクリニックブランドの構築を目指す上で、非常に有益な情報となるでしょう。

広報PR・マーケター
橋本唯

美容医療・保健医療・栄養医療・女性医療分野を中心に、SNSマーケティングおよび広報PRを手掛ける。美容クリニック事業部・運営企業にて制作ディレクターおよび広報を経験後、2025年に独立。ライター・編集者・マーケター・広報PRとしての多角的な経験を活かし、SNSコンサルティングを軸に医療業界の発展に貢献している。

株式会社Liberate Beauty 代表取締役
真山綾美

2010〜2020年まで湘南美容クリニックにてカウンセラーを務め、2021〜2022年には株式会社LOGICAでマーケティング支援に従事。その後、2022年に独立し、美容クリニック向けマネジメント・マーケティング支援会社「Liberate Beauty」を設立・代表として多彩に活躍中。

医師/Data Scientist/株式会社データック代表
二宮英樹

キレイパスコネクトプロジェクトマネージャー。東京大学医学部医学科を卒業後、脳神経外科医として臨床に従事。医療IT企業の株式会社メドレーではオンライン病気事典や遠隔診療に携わり、株式会社トライディアでデータ解析・AI開発を経験。2018年に株式会社データックを設立し、リアルワールドデータを活用した医療データ解析事業を牽引。

1. 美容クリニックにおける広報(パブリックリレーションズ)の本当の意味とは?

「広報」という言葉を聞くと、単にクリニックの宣伝活動や情報発信をイメージされるかもしれません。しかし、その本質はもっと奥深いところにあります。

広報は単なる宣伝ではない!社会との良好な関係構築

広報とは、元々「パブリックリレーションズ(Public Relations)」の和訳であり、その定義は「組織(クリニック)とその存続を左右する社会(パブリック)との間に、相互に利益をもたらす関係性を構築し、維持するマネジメント活動」とされています。

簡単に言えば、広報とは様々な相手と良好な関係を築き、戦略に基づいて情報を発信する活動全般を指します。単に情報を一方的に流すだけでなく、社会や患者様、メディアといったステークホルダーと双方向のコミュニケーションを図り、信頼関係を構築していくことが求められるのです。

美容クリニック特有の「広報=SNS担当」という誤解を解く

特に美容クリニック業界では、「広報PR担当者=Instagramを運用する人」というイメージが根強くあるかもしれません。確かにSNS運用は広報活動の重要な一部ですが、それはあくまで数ある手段の一つに過ぎません。広報の業務範囲はもっと広く、戦略的かつ多岐にわたるのです。

2. 有名ドクターはこうして生まれる!プロが明かす広報戦略の裏側

多くの患者様から支持され、メディアからも注目される「有名ドクター」。彼らはどのようにしてその地位を築き上げたのでしょうか。そこには、緻密な広報戦略が存在します。

ステップ1:ドクターの「人となり」を徹底的に知る

「広報戦略の第一歩は、プロデュース対象となるドクターの「人となり」を深く理解することから始まります。

  • コミュニケーションとリレーション構築の重要性
    ドクターとの強固な信頼関係(リレーション)を築くことが不可欠です。時にはコミュニケーションが難しいと感じるドクターもいるかもしれませんが、臆せず体当たりで関わっていく中で、その先生ならではの魅力や強みが見えてきます。
  • ドクターの特性(話し上手、文章力など)の見極め
    対話を通じて、「話術に長けているか」「文章作成能力が高いか」「研究や技術解説が得意か」など、個々のドクターが持つ特性を正確に把握します。

ステップ2:特性に合わせたオーダーメイドのブランディング

ドクターの特性を把握したら、次はその特性を最大限に活かせるブランディング戦略を構築します。

  • SNS向きか、アカデミックな発信向きか
    例えば、自己表現が得意で「映える」タイプのドクターであれば、SNSや動画でのパーソナルな発信が効果的です。一方、論理的な思考や解説力に長けたドクターであれば、専門性の高いコンテンツ(ブログ、論文、学会発表支援など)が適しているでしょう。
    コンテンツの具体例
  • 症例解説動画: 症例写真に詳細な解説を加えた動画コンテンツ。
  • 自己発信型コンテンツ: ドクター自身が前面に出て、美容医療に関する知識や考えを発信する動画やライブ配信。
  • 専門記事/コラム: 特定の施術や疾患に関する専門的な記事を執筆し、メディアやオウンドメディアで発信。
ケーススタディ:タイプ別ドクタープロデュース術
実際に橋本氏が手がけたプロデュース事例を参考に、ドクターのタイプに応じた戦略を見ていきましょう。
ドクターのタイプ 特徴 プロデュース戦略例 成果例
外科医
(自己ブランディングに消極的だが才能豊か)
容姿端麗、話術も巧みだが、自身のPRには無関心。手術は積極的に行う。 メディアへの積極的な露出戦略。過去のユニークな経験(例:自身へのアグレッシブな治療体験など)を盛り込んだプロフィールを作成し、媒体関係者に直接アプローチ。 キー局のテレビ番組で準レギュラー獲得
皮膚科医
(知識豊富で華やか、憧れの存在)
豊富な専門知識に加え、華やかなルックスで多くの人の憧れとなるポテンシャルを持つ。 女性誌やファッション誌など、ターゲット層と親和性の高い媒体へ集中的にアプローチ。 多数の雑誌掲載、専門家としての地位確立

メディアが食いつく「ぶっ飛んだ情報」とは?

メディア関係者の興味を引くためには、単にドクターの経歴や得意施術を並べるだけでは不十分です。橋本氏は「ぶっ飛んだ情報」をプロフィールに盛り込むと言います。これは、奇をてらうという意味ではなく、そのドクターならではの個性やユニークなエピソード、治療に対する情熱が伝わる情報のことです。
例えば、「自身の顔を積極的に改造し、アグレッシブな治療を試みる人体実験が好きな先生」というエピソードは、強烈なインパクトと共に、その先生の探究心や治療への本気度を伝えることができます。

3. 美容クリニック広報の5つの重要な役割

広報の活動は多岐にわたりますが、美容クリニックにおいて特に重要な役割は以下の5つに集約されます。

役割1:社会への情報発信(理念・存在意義の発信、プレスリリースの活用)

クリニックの売上向上に直結するサービスや商品の情報発信はもちろん重要ですが、それだけでは十分ではありません。クリニックの存在意義やドクターの理念、治療方針といった、より根源的なメッセージを社会に伝えていくことが、長期的な信頼獲得に繋がります。

その代表的な手段がプレスリリースです。新技術の導入、新たな取り組みの開始、社会貢献活動などをプレスリリースとして発信することで、メディアを通じて広く社会に伝えることができます。

【プレスリリース活用のポイント】
  • 単発で終わらせず、継続的に発信する。
  • 時事ネタとの連動: 社会的に関心の高いニュース(例:マスク生活による肌トラブルの増加など)に対して、専門家としての見解や関連する治療法を盛り込んだプレスリリースを発信する。
  • 独自調査・アンケート結果: クリニック独自で行ったアンケート調査の結果や、それに対する医師の見解を発信する。これにより、ニュース記事や雑誌の特集で引用されやすくなります。

役割2:ステークホルダーとのコミュニケーション(経営者、メディア、患者)

広報は、クリニックを取り巻く様々なステークホルダー(利害関係者)との良好なコミュニケーションを維持するハブとしての役割を担います。

  • 経営者(院長): 経営方針やビジョンを深く理解し、それを外部に的確に伝える。また、外部からの情報を経営者にフィードバックする。
  • メディア: 日頃からメディア関係者との良好な関係を構築し、情報提供や取材協力を行う。
  • 患者様: SNSやアンケートを通じて患者様の声を収集し、それに応じた情報発信やサービス改善に繋げる。

これらステークホルダーとの密なコミュニケーションが、クリニックへの信頼と共感を育みます。

役割3:社内への情報共有(社内広報の重要性)

広報活動は対外的なものだけではありません。「社内広報」も非常に重要な役割です。院長や経営層がどのような思いでクリニックを運営し、どのようなビジョンを描いているのかを、スタッフ一人ひとりに浸透させることが求められます。
院長の理念やクリニックの取り組みがスタッフに共有されていなければ、患者様に対して一貫したメッセージを届けることはできません。社内報の発行、定例ミーティングでの情報共有、院内イベントの企画などを通じて、スタッフのモチベーション向上と組織の一体感を醸成します。

役割4:経営課題の伝達と変革の促進(経営層との密な連携)

広報部門は、経営層と最も近い距離でコミュニケーションを取れる部署の一つです。そのため、現場の声や社会の動向、メディアの反応などを敏感に察知し、それを経営層に伝えることで、クリニック全体の変革を促す役割も担います。
「なぜ自分だけこんなに忙しいのだろう」「なぜ全ての指示を自分が出さなければならないのだろう」と感じている経営者の方は、広報・マーケティング部門の不在が原因かもしれません。広報部門が機能することで、経営者はより本質的な経営判断に集中できるようになります。

役割5:企業イメージに合致したブランディングの維持(軸のぶれを修正)

クリニックのブランドイメージは、一貫性が重要です。しかし、経営者一人で全てを決定していると、時に方針がぶれたり、メッセージが散逸したりすることがあります。
広報は、「先生、クリニックの軸はここです!」と、設定したブランドイメージから逸脱しないように軌道修正を行う役割を担います。ドクターが新しいアイデアや取り組みを思いついた際に、それがクリニック全体のブランド戦略と整合性が取れているかを確認し、適切な方向へ導きます。

4. 広報担当者は育成できる?未経験からプロになるための道筋

「広報の重要性は分かったが、専門の担当者がいない」「未経験でも広報は務まるのか?」という疑問もあるでしょう。

経験は必須ではない!ただし地道な努力と学習が必要

橋本氏自身も、5年前までは広報PR未経験だったと言います。つまり、広報担当者になるために、必ずしも最初から経験が必要なわけではありません。しかし、そのためには地道な努力と学習が不可欠です。

独学で学ぶことも可能ですが、宣伝会議のような専門機関が提供するセミナーや講座を受講し、広報の基礎から体系的に学ぶことが近道となります。

企業広報の知識を美容クリニックに応用するポイント

一般的な企業の広報理論をそのまま美容クリニックに適用できるわけではありません。しかし、広報の根本的な定義や目的は共通しています。学んだ知識の中から、「これは自院にも応用できる」というエッセンスを抽出し、具体的なタスクに落とし込んで実践していくことが重要です。

5. 広報活動を始める前に:
クリニックが抱える課題と解決策

多くの美容クリニックでは、広報の重要性を認識しつつも、日々の診療業務に追われ、十分なリソースを割けていないのが現状ではないでしょうか。

「広報に手が回らない」経営者の悩みと組織化の重要性

院長がプレイングマネージャーとして診療も経営も担っている個人クリニックなどでは、広報まで手が回らないケースが多く見られます。しかし、クリニックが成長し、より高い目標を目指すのであれば、広報活動の組織化は避けて通れません。

兼任ではなく専任の広報担当、あるいは外部専門家の活用

理想は専任の広報担当者を置くことですが、それが難しい場合は、広報業務を兼任するスタッフを明確に定め、業務時間の一部を広報活動に充てる体制を作ることから始めましょう。

また、自院での対応が難しい場合は、美容クリニックの広報に特化した外部の専門家やPR会社に業務を委託するのも有効な選択肢です。株式会社ロジカのような専門集団は、豊富な経験とノウハウで、クリニックの広報戦略を強力にサポートしてくれるでしょう。

6. まとめ:
美容クリニックの成長を加速させる広報PRの力

美容クリニックにおける広報PRは、単なる情報発信に留まらず、クリニックの理念を社会に伝え、ステークホルダーとの良好な関係を築き、ブランドイメージを確立・維持するための戦略的な活動です。

一見華やかに見える広報の世界も、実際には地道で泥臭い活動の積み重ねです。しかし、その努力が実を結んだ時、クリニックの認知度向上、集患力強化、そして永続的な成長へと繋がることは間違いありません。

本記事が、皆様のクリニックの広報活動を見直し、新たな一歩を踏み出すための一助となれば幸いです。

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