■「細く長く、時々太く」患者様に寄り添うクリニック作り
本日はモティーフ銀座クリニックの外崎麻里 先生にお話を伺います。先生は美容クリニックの運営にITを積極的に活用されていますが、まず初めに、先生ご自身とクリニックについてご紹介いただけますでしょうか。
私は大学病院などで形成外科医としての経験を積み、大手の美容外科で院長を複数務めた後、2021年10月に夫が開院した当院で美容外科部門の総括医師として勤務しております。プライベートでは10歳の息子の育児に奮闘中です。
当院の特徴は大きく二つあります。一つは、在籍医師が形成外科の専門医のみであること。もう一つは、院内に独自の培養施設を持ち、再生医療と美容医療を同時に提供できる国内でも数少ないクリニックである点です。再生医療で内側から健康に、美容医療で外側から美しくなっていただけるよう、土台となる身体の根本から患者様としっかり向き合うことを目指しています。
私の信条は、美容医療とは「細く長く、時々太く」というものです。この考えに基づき、患者様の美容医療計画にできる限り長く寄り添っていけるようなクリニック作りを心掛けています。
■予約管理と紙運用。二重の手間がスタッフを疲弊させていた
それでは早速、キレイパスコネクト導入の経緯についてお伺いします。元々はどのような課題を抱えていらっしゃったのでしょうか。
はい。導入前の課題は大きく二つありました。
一つ目は、予約システムと電子カルテが別々のシステムだったため、予約調整の際に二つの画面を見比べる必要があり、スタッフの業務時間を大きく圧迫していたことです。予約も承認制で手動作業が多く、業務の効率化が急務でした。
二つ目は、電子カルテを導入してはいたものの、同意書や見積もりの作成など、実際には紙での運用が非常に多かった点です。紙媒体の保管や管理は本当に大変で、スタッフがそうした煩雑な業務に疲弊している状況でした。この二つの課題を解決できると聞き、キレイパスコネクトの導入を決めました。
■予約がテトリスのように埋まる。医師の稼働率を最大化する時間管理
実際に導入されてからの変化についてお伺いします。まず、別々のシステムで複雑だった予約管理は、どのように改善されましたか?
劇的に改善されました。以前のシステムでは施術ごとの時間設定を手作業で行う必要がありましたが、細分化が難しく、結果として医師の時間を一括で管理せざるを得ませんでした。そのため、スタッフが患者様を対応している間に私(医師)の手が空いてしまうといった無駄な時間が頻発し、売上も伸び悩んでいました。
キレイパスコネクト導入後は、スタッフとドクターの時間を細かく管理できるようになりました。例えば、患者様が洗顔されている15分の間に私が他の患者様のカウンセリングに入り、戻られたら手術を行う、といったように、私の稼働時間を非常に効率良く使えるようになったのです。テトリスのように予約が効率的に埋まっていくので、本当に助かっています。
■紙の使用率9割削減。生まれた時間で患者様と向き合う
二つ目の課題だった紙の同意書や見積書については、いかがでしょうか。
こちらも大きな変化がありました。美容医療では同意書が非常に重要ですが、多い方だと3枚から5枚にもなります。以前はこれらを一枚一枚印刷し、説明、サイン、スキャン、保管、そしてシュレッダーと、一連の作業に膨大な労力がかかっていました。
導入後は、タブレット上でご署名いただき、データはすぐに患者様のデジタル診察券で共有できます。ペーパーレス化が進み、紙の使用率は9割ほど削減されました。これにより生まれた時間を、患者様へのより丁寧な説明やコミュニケーションに充てることができ、患者様の満足度向上にもつながっていると感じています。
見積書も同様で、以前は作成に15分ほどかかり、患者様をお待たせしていましたが、今はデータですぐに作成し、デジタル診察券に反映できます。患者様はご自身のスマートフォンでいつでも見積もりを確認できるため、私たちからのアフターフォローもしやすくなりました。
■感覚から確信へ。データが導く戦略的経営と組織の一体感
データを見ることで、スタッフの方々とのコミュニケーションにしやすさなど、組織マネジメント面での効果はありましたか?
はい、ありました。私は「再診率」を重要な指標としていますが、理念だけでは感覚的な理解に留まってしまいます。しかし、「今月はこれだけの再診率を達成できた」と具体的な成果をデータで共有することで、スタッフのモチベーションが向上し、「来月も頑張ろう」という一体感が生まれます。売上目標なども同様です。しっかりとした数字を設定することで、組織が向かうべき方向性がより明確になると考えています。
■「スタッフを支えること」が医師の役割。IT活用で本質的な医療を追求する
最後に、先生がここまでITを活用し、クリニック運営の効率化・自動化を推進される原動力は何でしょうか。
原動力は、「患者様とスタッフ、一人ひとりにきちんと向き合いたい」という想いです。同意書のスキャンや見積もりの印刷といった誰でもできる作業は自動化することで、スタッフはより本質的で質の高い仕事に集中できます。ハード面でスタッフをサポートすることが、医師としてできる重要な役割の一つだと考えています。
そして、クリニックにおける最も貴重なリソースは、医師の時間です。その時間を無駄なく活用するフローを構築できれば、売上にも患者様の満足度にも反映されます。たとえ私(医師)が良い医療を提供しても、スタッフが良い接遇を提供できなければ、それは「良い医療」として成り立ちません。キレイパスコネクトは、そのための下地作りとして非常に役立っています。




